最高裁判所第一小法廷 昭和52年(マ)8号 決定 1977年2月28日
申立人
城木節子
右代理人
吉原正八郎
畑中広勝
相手方
玉田義光
札幌簡易裁判所が債権者を相手方とし債務者を申立人とする同裁判所昭和四一年(ト)第三七号仮処分申請事件につき同年五月一二日にした仮処分決定及び同第六〇号仮処分申請事件につき同年六月二九日にした仮処分決定について申立人は事情変更による仮処分取消の申立書を当裁判所に提出したので、当裁判所は、裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定する。
主文
本件を札幌高等裁判所に移送する。
理由
一件記録によると、本件仮処分の本案訴訟が原告(反訴被告)を相手方とし被告(反訴原告)を申立人とする札幌地方裁判所昭和四二年(ワ)第一五一六号土地所有権移転登記手続(反訴、所有権確認)請求事件として係属し、同裁判所が昭和五〇年一月三〇日相手方の本訴請求を棄却し申立人の反訴請求を認容するとの判決をしたこと、ついで、右本案訴訟は、相手方の控訴提起に基づき控訴人を相手方とし被控訴人を申立人とする札幌高等裁判所昭和五〇年(ネ)第二〇号土地所有権移転登記手続本訴請求、所有権確認反訴請求控訴事件として係属し、同裁判所が昭和五一年一二月一三日相手方の控訴を棄却するとの判決をしたこと、これに対し相手方が同月二七日同裁判所に上告状を提出して上告の提起をしたので、現在同裁判所において上告受理手続が行われていることが明らかである。
このように、仮処分の本案訴訟についてされた控訴判決に対し上告の提起がされても、原裁判所において当該事件につき上告受理手続が行われているときには、事情変更による仮処分取消申立事件は、本案がなお控訴審に係属しているものとして控訴裁判所の管轄に属するものと解するのが相当である。したがって、本件は札幌高等裁判所の管轄に属するものというべきであるから、これを同裁判所に移送すべきものとし、主文のとおり決定する。
(岸盛一 下田武三 岸上康夫 団藤重光)